MRJ飛行試験初号機(JA21MJ)は2015年11月11日午前9時35分、
愛知県営名古屋空港の滑走路から離陸、MU-300やT-4等の随伴機に見守られながら
遠州灘の太平洋上空で各種飛行試験を行い1時間27分後の
11時02分に名古屋空港に無事着陸しました。
国産旅客機の開発は、戦後初のプロペラ旅客機YS-11以来で
約半世紀ぶりのこととなりました。
MRJの飛行試験機は5機が製造され、国内での飛行試験を経て
米国シアトル州モーゼスレイクで型式証明に向けての試験を行います。
そして、2018年に全日本空輸へ量産1号機の納入を予定しています。

三菱航空機および三菱重工業は、MRJの初飛行を10月最終週としていましたが、
操舵用ペダルの改修が必要となったため、10月23日に延期すると発表しました。
10月29日、国土交通省よりMRJ飛行試験初号機による初飛行許可を取得しました。
11月6日に離陸時の最高時速である約200キロの高速走行試験及びその評価等を実施。
そして2008年の開発着手から約7年で初飛行に成功させました。
尚、MRJの初飛行の飛行試験は日本海側に北上するコースと、
遠州灘沖を南下するコースを想定し約1時間の飛行が予定されていました。


“In our forecasts we have the MRJ replacing Bombardier as the second-biggest regional jet supplier,”
said Rob Morris, head of consultancy at Ascend Flightglobal Consultancy.

米ブルームバーグはMRJが初飛行に成功したことで、
ブラジルのエンブラエル、カナダのボンバルディアとの販売競争が激化するだろう」
と小型旅客機市場の三つ巴を予想。フライトグローバルの専門家のコメントとして、
「世界の航空会社は小型旅客機への切り替えを加速している。
今後の需要を考えるとMRJのポテンシャルは高い」そして「我々の予想では、MRJは近いうちに
シェア2位のボンバルディアを追い抜くだろう」などと勢力図が変わる可能性を伝えた。

英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は、『三菱』という航空業界の伝説的な名前が大空に帰ってきた。
零戦を製造した三菱が市場に参入することで、国産旅客機を復活させるという
日本の長年の夢が現実となったと、世界的に有名な戦闘機を引き合いに報じた。

三菱航空機は初の国産ジェット旅客機となる三菱リージョナルジェットーMRJを開発しています。MRJシリーズはMRJ70(78席)とMRJ90(92席)の2タイプがあり、基本価格は1機30~40億円程度となります。客席数が70~100席クラスのリージョナルジェットでは、ブラジルのエンブラエルE170/190シリーズ、カナダのボンバルディア700/900/1000及びCシリーズ、中国のAR21、ロシアのスホーイ・スーパージェット100などがあります。近年、世界の民間航空機市場では70席から90席クラスのリージョナルジェットのほかに、100席クラス以上となる小型機の代替需要が見込まれるようになりました。エンブラエル195、スホーイ・スーパージェット100、そしてボンバルディアCシリーズなどの競合機があり、三菱MRJのストレッチタイプの開発も進めることとなるでしょう。
MRJの受注状況は、開発当初においては世界経済の低迷と航空不況の影響から全日本空輸からの25機にとどまっていましたが、高効率のリージョナルジェットへの潜在需要は高いとされていました。2009年に米トランス・ステーツ社からオプション50機を含め100機を契約、さらに2012年には世界で最大級のリージョナル航空会社である米スカイウェスト社からオプション100機を含め200機の契約を交わしました。三菱航空機では2026年までの小型ジェット機需要を5000機超と予測しており、1000機の受注を獲得することを目標にしています。なお、MRJの採算ラインは400機が必要とされています。2013年10月現在、MRJの総受注数は全日本空輸株式会社(ANA)から確定15機とオプション10機の25機、米トランス・ステーツ社から確定50機とオプション50機の100機、スカイウェスト社から確定100機とオプション100機の200機、米イースタン航空から40機の合計365機(確定200機、オプション165機)となりました。

三菱重工業は世界でトップクラスの航空機メーカであるボーイング社とエアバス社、そしてボンバルディア社の数々の旅客機開発に参画してきました。三菱の製造技術は世界の航空機メーカーから、高い評価と信頼を得ています。例えば日米国際共同開発機ボーイング787の複合材主翼、ボーイング777では後部胴体と尾部胴体そしてドア、ボーイング767では後部胴体と貨物室ドア、またボーイング747と737では内側フラップなどの製造を担当しています。またエアバス社ではエアバスA380とA330-300のカーゴドア、A319/320の主翼部品シュラウド・ボックスを製造しています。そしてボンバルディア社のリージョナルジェットでは、CRJ700(70人乗り)およびCRJ900(90人乗り)の共同開発メーカーとして後部胴体を担当、またターボプロップ機ボンバルディアQ400のリスクシェアパートナーとして中部胴体、後部胴体、垂直尾翼、水平尾翼、エレベータ、ラダー、ドアなどの開発と製造、そしてカスタマーサポートを担当しています。


次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)飛行試験機初号機による走行試験(Low Speed Taxiing Test)を、2015年6月8日より県営名古屋空港(愛知県豊山町)で開始しました。走行試験(Taxiingータキシング)は、低速自走状態における制動確認及びステアリングによる方向制御の確認を実施するものです。



2015年5月、ANAカラーが施された飛行試験機5号機の胴体塗装が完了しました。5号機の塗装は全日空のANAとMRJロゴのコラボレーションカラーが施されました。今後5号機は胴体の組立と主翼を結合し最終組立てを行います。



2014年10月18日、三菱重工業と三菱航空機は三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場(愛知県西春日井郡)において次世代のリージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)のロールアウト式典を開催しました。国産初のジェット旅客機は2015年4〜6月に初飛行を予定しています。式典には西村明宏国土交通副大臣、丹羽秀樹文部科学副大臣、黒田篤郎経済産業省製造産業局長およびANAホールディングス株式会社伊東信一郎代表取締役社長など多数の来賓が列席、三菱重工業大宮英明取締役会長と三菱航空機川井昭陽取締役社長ほか幹部が出席しました。主催者側を代表して大宮会長は「最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた世界に誇れるMade in Japan の製品が、ようやく夢から現実へと姿を変えようとしている。私は自信を持ってこのMRJを世界に送り出せることを誇りに思う」と述べました。

Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. (MHI) and Mitsubishi Aircraft Corporation held a rollout ceremony for the MRJ (Mitsubishi Regional Jet), a next-generation regional jet, at the Komaki Minami Plant of MHI's Nagoya Aerospace Systems Works in Aichi Prefecture. After unveiling Japan's first jet aircraft, MHI and Mitsubishi Aircraft are now ready to proceed toward the MRJ's first flight scheduled for the April-June quarter of 2015.
The rollout ceremony was attended by numerous distinguished guests, including Akihiro Nishimura, State Minister of Land, Infrastructure, Transport and Tourism (MLIT); Hideki Niwa, State Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT); Atsuo Kuroda, Director-General, Manufacturing Industries Bureau, Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) and Shinichiro Ito, President and CEO of ANA Holdings Inc., the launch customer. From MHI and Mitsubishi Aircraft, respectively, chairman Hideaki Omiya and president and COO Teruaki Kawai, as well as executives of the two companies, were present.
In welcoming his guests Mr. Omiya spoke of his pride on the momentous occasion. "A product 'Made in Japan' – a product offering the highest levels of both operating economy and cabin comfort – is at long last about to leave the realm of dreams and become a reality," he said. "It's with utmost confidence and pride that we will soon be sending the MRJ out into the world."
Going forward MHI and Mitsubishi Aircraft will continue to dedicate their full efforts to ensuring the success of the MRJ project while at the same time playing a core role in the development of the aviation industry. The two companies presently look for the MRJ's first flight to take place in 2015 and for first delivery in 2017.




MRJプロジェクトには、最新鋭の高効率エンジン「PurePower™ PW1000G」 を供給するプラット&ホイットニーのほか、パーカー・エアロスペースが油圧システム、ハミルトン・サンドストランドが電源と空調、および補助動力などの各システム、ロックウェル・コリンズがフライト・コントロール・コンピューターとアビオニクス、ナブテスコがフライト・コントロール・アクチュエーター、住友精密工業が降着システムなど各社が主要なパートナーとして参加しています。

Power
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MRJが採用したPurePower(R)PW1200Gエンジンは、プラット&ホイットニー(Pratt&Whitney)社がこれまで20年間に10億㌦(約1,000億円)を投じて開発した最新鋭の高効率エンジンで効率に優れ、運航経済性と環境適合性を飛躍的に向上させます。低圧スプールを高速で回転させて最適な効率を得ると同時に、ファンを低速で回転させ大幅な騒音低減を実現します。 さらに、効率の向上によってエンジンの段数やファンの枚数を減らし、エンジン重量及び運航費の低減を実現することができます。実証エンジンは130時間のフェイズ1の地上試験を完了、2009年4月からグッドリッチ製航空機用ナセルを取付け2ヶ月間地上試運転を実施、同年7月から同社所有のボーイング747SP飛行試験機に搭載し11月まで飛行試験を実施しました。

PurePower(R)PW1200Gエンジンはギアード・ターボファンエンジンGTFと呼ばれていました。

Wings
主翼と胴体は金属(アルミニウム)製を採用しました。

Cabin
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モダンでスタイリッシュなMRJの客室は、リージョナルジェット機の室内に「幹線機並なみの快適さ」という新しい価値を提供します。1列4席の配置の快適なスリムシートを備え、余裕のある座席幅と通路幅、そしてヘッドクリアランスとフットクリアランス。キャビンサイズはエンブラエルの客室とほぼ同等の大きさで高さは約2m、米国人男性の97.5%が満足する高さです。中央座席が無いため、座席やオーバーヘッド・ビンへと容易にアクセスできます。しかもクラス最大級のオーバーヘッド・ビンにはIATA規定の最大サイズのローラーバックも収納可能です。

Cockpit
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コクピットはロックウェル・コリンズ社の次世代アビオニクス・システムProLine21Fusionを採用。15インチの高解像度大型液晶パネル4枚と画面上部左右にヘッドアップ・ガイダンス・システム(HGS)を配置、そして合成視認増強システム(EVS)、マルテイ・スキャン・レーダー・システム、空中衝突回避警報システム(TCAS II)と自動位置情報伝達/監視システム(ADS-B)、整備目的で使う機体情報管理システム等を装備、高度に統制化されたシステムにより悪天候下でも正確な状況を把握し安全性を高めている。ProLine21Fusionはボンバルディア・グローバル・エクスプレスXRS、ボンバルディア・グローバル・エクスプレス5000、セスナ・コロンバス・ビジネスジェットが採用しているものです。

注)写真画像及びイラストは三菱航空機から転載しました。

翔べ!YS-11 世界を飛んだ日本の翼

DIGITAL EDITION 2014

国産旅客機YS-11は今から50年前の1962年8月30日に初飛行に成功しました。試作機2機と量産機180機の合わせて182機が製造され世界の空で活躍しました。小学館から刊行された『翔べ!YS-11―世界を飛んだ日本の翼―』は、日本と海外12カ国での運航、そして2006年9月に日本のエアラインから完全退役した国産旅客機YS-11の偉大なる航跡の記録です。凍てつく大地・アラスカから南米アンデスの山々を飛び越え、アフリカでは大統領専用機としても活躍しました。そして、半世紀を経て、初めて開発された国産ジェット旅客機、三菱リージョナルジェットMRJが世界の空に羽ばたこうとしています。
●著者:横倉 潤 Jun Yokokura●発行:株式会社小学館
『翔べ!YS-11―世界を飛んだ日本の翼―』(電子版)は1964年の初飛行から2014年までの記録を追記した改訂版です。