主翼と胴体は金属(アルミニウム)製。
キャビンの高さは約2m、米国人男性の97.5%が満足する高さとのことです。収納室にはローラー付きバッグの収納ができるそうです。キャビンサイズはエンブラエルの客室とほぼ同等の大きさです。
MRJが採用した Pure PowerTM PW1000Gは、プラット&ホイットニー社がこれまで20年間に10億㌦(約1,000億円)を投じて開発してきた最新鋭の高効率エンジンで、以前はギアード・ターボファンエンジンGTFと呼ばれていました。実証エンジンは130時間のフェイズ1の地上試験を完了、2009年4月からグッドリッチ製航空機用ナセルを取付け2ヶ月間地上試運転を実施、7月から同社所有のボーイング747SP飛行試験機に搭載し11月まで飛行試験を実施しました。
Cockpit
コクピットはロックウェル・コリンズ社の次世代アビオニクス・システムProLine21Fusionを採用。15インチの高解像度大型液晶パネル4枚と画面上部左右にヘッドアップ・ガイダンス・システム(HGS)を配置、そして合成視認増強システム(EVS)、マルテイ・スキャン・レーダー・システム、空中衝突回避警報システム(TCAS II)と自動位置情報伝達/監視システム(ADS-B)、整備目的で使う機体情報管理システム等を装備、高度に統制化されたシステムにより悪天候下でも正確な状況を把握し安全性を高めている。ProLine21Fusionはボンバルディア・グローバル・エクスプレスXRS、ボンバルディア・グローバル・エクスプレス5000、セスナ・コロンバス・ビジネスジェットが採用しているものです。
三菱重工業は世界でトップクラスの航空機メーカであるボーイング社とエアバス社、そしてボンバルディア社の数々の旅客機開発に参画してきました。三菱の製造技術は世界の航空機メーカーから、高い評価と信頼を得ています。例えば日米国際共同開発機ボーイング787の複合材主翼、ボーイング777では後部胴体と尾部胴体そしてドア、ボーイング767では後部胴体と貨物室ドア、またボーイング747と737では内側フラップなどの製造を担当しています。またエアバス社ではエアバスA380とA330-300のカーゴドア、A319/320の主翼部品シュラウド・ボックスを製造しています。そしてボンバルディア社のリージョナルジェットでは、CRJ700(70人乗り)およびCRJ900(90人乗り)の共同開発メーカーとして後部胴体を担当、またターボプロップ機ボンバルディアQ400のリスクシェアパートナーとして中部胴体、後部胴体、垂直尾翼、水平尾翼、エレベータ、ラダー、ドアなどの開発と製造、そしてカスタマーサポートを担当しています。
三菱MRJは三菱航空機が開発している国産リージョナルジェット旅客機です。正式名称は三菱リージョナルジェット(Mitsubishi Regional Jet)ーMRJです。MRJは経済産業省の推進する事業の一つで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が提案した環境適応型高性能小型航空機計画により国の助成を受けて開発されました。2009年9月に仕様が確定し、2010年夏に設計作業が終了、9月30日から三菱重工で製造が開始されました。MRJは世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた70〜100席クラスの次世代リージョナルジェット機です。世界最先端の空力設計技術、騒音解析技術などの適用と最新鋭エンジンの採用により、大幅な燃費低減を実現するとともに、騒音、排出ガスも大幅に削減します。キャビンは1列4席の配置、新型スリムシートと大型オーバーヘッド・ビンの装備などを採用、これまでのリージョナル機にはない快適な客室空間を提供します。日本が国産旅客機を開発するのは、YS-11以来のことで、実に50年ぶりのことになります。
Cabin
Wing
Engine
2008/10/01
三菱航空機は2008年国際航空宇宙展にMRJのキャビンモックアップを展示しました。モックアップの展示は7月に英国で開催されたファンボロー航空ショーに続くもので、多くのマスコミや関係者が見学に訪れました。
2008/10/16
Text & Photos by Jun Yokokura SKYPRESS INC
三菱航空機は10月16日、米国での販売拠点となる現地法人Mitsubishi Aircraft Corporation America, Inc. をテキサス州アディソン市に設立、11月1日から営業活動を開始することを発表しました。代表取締役社長には現営業部調査役の滝堅太郎氏が就任しました。
MRJ DATA
2008/10/23
三菱航空機はMRJのパイロン(エンジンおよびナセルを懸架装置)の設計と製造を米国のスピリット・エアロシステムズ社と契約を結んだ。スピリット・エアロシステムズ社はカンザス州ウィチタに本社があり、航空機の胴体、翼の一部、パイロン、ナセル(エンジンを覆う囲 い)などの設計、製造、組み立てを行なっている世界最大級の民間航空機構造部サプライヤーです。また、ボーイング社の製造しているすべての旅客機のパイロンを供給しています。
油圧システム/パーカー・エアロスペース電源、空調、補助動力システム/ハミルトン・サンドストランドフライト・コントロール・コンピューター(ProLine 21 Fusion)/ロックウェ ル・コリンズフライト・コントロール・アクチュエーター/ナブテスコ降着システム/住友精密工業
三菱航空機は2009年9月9日、MRJの機体仕様を確定したことを発表しました。新しい仕様となるMRJは、競合機に対して圧倒的な燃費優位性、低騒音、低排出ガス等の基本性能を着実に達成することに加え、客室スペースと客室内荷物収納スペースを拡大しました。客室スペースの高さを1.5インチ(3.81cm)高くし、客室幅と客室高ともに競合機を上回ることになりました。胴体縦径では114インチから116.5インチと2.5インチ拡大となります。また、客室内貨物収納スペースの容量を12パーセント拡大し、大型ローラーバックの収納を可能としています。貨物室は前方と後方の2ヶ所の予定でしたが、貨物の積み降ろし作業の効率向上を図るため、前方貨物室を廃止し後方貨物室を拡大することになりました。そして主翼を複合材から金属(アルミニウム)に変更することになりました。これは、現在の複合材技術では、MRJの主翼の軽量化ができないと判断したことと、MRJファミリーのモデルごとに主翼構造を最適化するためです。金属主翼の採用によりストレッチ化が容易となります。三菱航空機では仕様が確定したため、今後は詳細設計を進めますが、設計作業の追加により、初飛行は2011年第4四半期から2012年第2四半期に、そして全日本空輸への初号機納入は2014年第1四半期に変更されます。これまでMRJは70席クラスのMRJ70と90席クラスのMRJ90の2機種を開発してきました。近年、世界の民間航空機市場では70席から90席クラスのリージョナルジェットのほかに、100席クラス以上となる小型機の代替需要が見込まれるようになりました。エンブラエル195、スホーイ・スーパージェット100、そしてボンバルディアCシリーズなどの競合機があり、三菱MRJのストレッチタイプの開発も進めることとなるでしょう。
MRJは、78席、92席、100席のタイプがあり、価格は1機30〜40億円程度。客席数が70〜100席クラスのリージョナルジェットでは、ブラジルのエンブラエルE170/190シリーズ、カナダのボンバルディア700/900/1000及びCシリーズ、中国のAR21、ロシアのスホーイ・スーパージェット100などがあります。これまでMRJの受注は、世界経済の低迷と航空不況の影響から全日本空輸からの25機にとどまっていましたが、高効率のリージョナルジェットへの潜在需要は高いとされています。海外航空会社からの大量受注を獲得したことで、受注拡大に弾みがつくことになりました。三菱航空機は2026年までの小型ジェット機需要を5000機超と予測しており、1000機の受注を獲得することを目標にしています。なお、MRJが採算ラインは400機が必要とされています。
2009/9/9
ストレッチタイプの開発に向け機体仕様を確定
MRJのパイロンを米スピリット・エアロシステムズ社と契約
国際航空宇宙展JA2008にキャビンモックアップを展示
米国に現地法人を設立





MRJ NEWS
三菱航空機は10月2日、米ミズーリ州セントルイスに本社を置くトランス・ステーツ・ホールディングス(TSH)とMRJ確定50機とオプション50機、合わせて100機の覚書を締結したことを発表しました。MRJの引き渡しは2014年以降から2020年頃までに納入する計画です。会見した三菱航空機の江川豪雄(えがわ・ひでお)社長は「100機もの受注につながり、喜ばしい今回の受注は大変心強い。これを機に世界中での販売に力を入れる」と述べました。三菱重工の大宮英明社長も「MRJの環境性能や経済性が理解してもらえた結果」とのコメントを発表しました。 同席したトランス・ステーツ・ホールディングスのリチャード・リーチ社長は「すばらしい航空機」と評価。「正直、厳しい経済環境下だが、高い技術や優れた運航性能、乗客の快適さなどをみて決定した」、「低燃費、低騒音、低排出ガスなどの環境性能は、エアラインの運航コスト低減に直結する」、「リージョナルジェット機の中で最大の客室を持ち、新設計の座席と低騒音のエンジンにより、ほかのリージョナルジェット機にも勝る快適な空の旅を乗客に提供できる」などと、選定理由を説明しました。また、MRJシリーズにはMRJ70(78席)、MRJ90(92席)、そしてストレッチタイプ(100席)がありますが、どの機種にするかは今後の経済情勢などから決定するとのことです。トランス・ステーツ・ホールディングスは、傘下にトランス・ステーツ・エアラインズ(Trans States Airlines)とゴージェット・エアラインズ(Gojet Airlines)の2社があり、米大手航空会社のアメリカン航空(American Airlines)、ユナイテッド航空(United Airlines)、そしてUSエアウェイズ(US Airways)と提携、米国内50都市に1日350便のフィダー路線を運航、年間500万人の乗客が利用しています。同社のフリートは、ブラジルのエンブラエルの機材を使用しています。
米トランス・ステーツから初の海外受注
2009/10/2

三菱航空機 Mitsubishi Aircraft
MRJ70
70席
PW PW1217G
MRJ90
92席
PW PW1217G
2012年初飛行、2014年就航予定
ボンバルディア(カナダ)Bombardier
CRJ700
78席
GE CF34-8C5
1999年5月初飛行、2001年より就航
CRJ705
75席
GE CF34-8C5
2005年より就航
CRJ900NextGen
90席
GE CF34-8C5
1999年10月、2001年より就航
CRJ1000NextGen
100席
GE CF34-8C5A1
2008年9月初飛行、2010年就航予定
CSR100
110席
PW PW1500G
2012年初飛行、2013年就航予定
CSR300
130席
PW PW1500G
エンブラエル(ブラジル)Embraer
ERJ170
70席
GE CF34-8E
2002年2月初飛行、2004年より就航
ERJ175
78席
GE CF34-8E
2004年6月初飛行、2005年より就航
ERJ190
94席
GE CF34-10E
2004年3月初飛行、2006年より就航
ERJ195
106席
GE CF34-10E
2004年12月初飛行、2006年より就航
中国商用飛機有限公司(中国)COMAC
ARJ21-700
78席
GE CF34-10A
2008年初飛行、2010年就航予定
ARJ21-900
98席
GE CF34-10A
スホーイ(ロシア)Sukhoi
Superjet 100-75
78席
PowerJet SaM146
2008年初飛行、2010年就航予定
Superjet 100-95
98席
PowerJet SaM146
2008年初飛行、2010年就航予定
Aircraft
Passengers
Engines
カタール航空のアクバ・アル・バクル最高経営責任者(CEO)は6月29日、国産小型ジェット機「MRJ」について「導入候補機の一つとして検討する用意がある」と語り、近く三菱側と交渉の機会を持つことを明らかにしました。同CEOはMRJを導入する前提として「貨物スペースの容量拡大が必要」との見解を示し、改良提案が受け入れられれば前向きに検討するということです。カタール航空はカタールの国営航空会社でドーハを拠点に世界80都市以上に就航しています。フリートはエアバスA320ファミリー、エアバスA330-200、エアバスA330-300、エアバスA340-600、ボーイング777-200LR、ボーイング777-300ERなどを運航しています。カタール航空では100席クラス以下となる路線用運航機材は保有していないことから、今後の動向が注目されます。
2010/6/29
カタール航空、MRJ購入で近く三菱重工側と交渉へ。
三菱航空機は2011年6月16日、香港のANIグループホールディングス社(ANI Group Holdings Ltd.)と、5機のMRJ90型機購入に関する覚書を締結しました。アジアで海外企業からMRJを受注したのは初めてとなります。ANIグループホールディングス社は香港を拠点に航空機リース・整備事業を展開、インドネシアの航空会社5社に航空機リースと整備サービスを提供しています。ANIグループホールディングス社によると、インドネシアの航空機の役割がこれまで以上に重要であり、優れた運航経済性と客室快適性を兼ね備えるMRJは、付加価値の高いリージョナルジェット機として大きく貢献してくれると期待しているとのことです。また、100席クラスの派生型が加えられた際には、さらに20機の追加発注を検討したいとコメントしています。三菱航空機の江川豪雄社長は、「私どもは、大きく成長しているアジア市場で、MRJの販売活動に注力して参りました。この度、ANIグループホールディングス社にMRJのご購入を決定いただいたことを非常に嬉しく思います。この受注はアジア市場のみならず、全世界での販売活動の大きな励みとなります。最先端技術を採り入れた次世代のリージョナルジェット機MRJがANIグループホールディングス社のビジネスに貢献することを願っております。」とコメントしました。MRJはこれまでに全日本空輸株式会社(ANA)から25機(確定15機、オプション10機)、米トランス・ステーツ・ホールディングス社(TSH)から100機(確定50機、オプション50機)の計125機を受注しており、今回の受注を合わせ、MRJの合計受注機数は130機(確定70機、オプション60機)となります。
MRJアジアでの海外初受注
2011/6/16

国産旅客機YS-11は今から50年前の1962年8月30日に初飛行に成功しました。試作機2機と量産機180機の合わせて182機が製造され、世界の空で活躍しました。小学館から刊行された『翔べ!YS-11—世界を飛んだ日本の翼—』は、日本と海外12カ国での運航、そして2006年9月に日本のエアラインから完全退役した国産旅客機を追ったものです。
著 者: 横倉 潤 Jun Yokokura
発 行: 株式会社 小学館
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